2009年10月15日木曜日

古本3冊

ここ最近、立て続けに古本を買っている。

右は、内田百閒先生の「続百鬼園随筆」(旺文社文庫)。
現在は新潮社から発売されており、そちらはすでに持っている。ただし、そちらは当用漢字、新仮名になっている。先生は辞書を熟読するほど言葉にこだわっておられ、先生一流の仮名使いを大切にしておられた。先生が新仮名を使って文章を書かれたのは、お弟子さんの代筆をしたときだけだった。
「つけ加えて申し上げておきますが、僕が当用漢字で新仮名の文章を書いたのは、これが最初で最後です」 百鬼園先生と目白三平(中村武志)
旺文社文庫は旧仮名つかいを採用している。先生のファンとしては当然購入。これでより深く百閒ワールドに浸れるかな。

真ん中は、ニコライ・A・バイコフ「樹海に生きる」(中公文庫)。
この人の作品は読んだことがないのに、棚に並んでいる背表紙の中でこの人の名前を見たときになんとなくピンときて手に取っていた。どこかで聞いたり、読んだことがあったりしたのかもしれないなぁと思い出そうとしても心当たりがない。
20世紀初頭、満州北東部の厳しい自然の中での人と動物のドラマが叙情的に語られている。短篇集なので、拾い読みをしながら大切に読んでいる。

左は、Timothy Severin「バイクでシルクロード」 (社会思想社)
オックスフォード大学の学生が、仲間3人でバイク(サイドカー2台)でマルコ・ポーロが通った道をトレースするお話。
原題は、「Tracking Marco Pole」。
こちらのほうが、すっきり簡潔に本題を語ってくれている。日本の訳者はなんで本質でなく手段や枝葉末節をタイトルにもってくるのか理解に苦しむ半面、「バイクで」というところに反応してしまったのも事実。
日本人の作品でよくある、「とりあえず走った」(大変なのは重々理解しますが)という自己満足的な旅行記ではなく、マルコ・ポーロの冒険の学術的な解説を交えながらで興味深い。
この旅行記がいつ書かれたのがよく分からないが、BSA A7 Shooting Star に乗っており、かつそれがまだフランスには入っていなかったとの記述があるので、1954年以降の数年以内の間のことだろう。

絶版になった良書を思いがけないタイミングで入手できるのが古本の魅力。最近流行りの電子書籍では代替できない魅力だと思う。他にも積ん読状態の本がたくさんあるが、しばらくは古本屋通いが続きそうだ。

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